研究概要 |
Dynamic-MRIは造影MRI検査において,造影効果を経時的に連続して観察する検査法である。Dynamic-MRIで観察できる造影効果は腫瘍内の血流動体と関係している。つまり,悪性腫瘍と良性腫瘍では異なり,一部の腫瘍では質的診断に用いられるほどの特徴を示す。 本研究では口腔癌の造影効果の特徴を明らかにすることを目的とし,さらに,腫瘍増殖能が評価できるか検討した。 対象は岡山大学歯学部付属病院を受診した口腔癌患者のなかで,造影MRI(dynamic-MRIを含む)検査の依頼があった患者である。検査データを研究に用いることを十分に説明,了承の得られた患者を最終的に本研究の対象とした。本年度は通常のMRI検査だけでは検出が困難な舌下腺の悪性腫瘍について検討した。正常舌下腺,舌下腺悪性腫瘍,さらに口底部扁平上皮癌が経時的造影効果の違いから検出・鑑別できた。その内容をまとめOncol Rep.2002Nov-Dec;9(6):1283-7.に報告した。 また,口腔扁平上皮癌についてはその造影効果と腫瘍増殖能との関係を検討した。腫瘍増殖能の評価はすでに確立している増殖腫瘍細胞核抗原(proliferating cell nuclear antigen(PCNA))を手術材料から作製したパラフィン切片上で免疫染色することで行った。増殖能が高い口腔扁平上皮癌組織ほどdynamic-MRIで造影される速度が速くかつ強く造影されることが分かった。統計学的にもそれぞれP=0.0019,r=0.544とP<0.0001,r=0.866と高い正の相関を示した。その内容をまとめOral Oncol.2003Apr;39(3):290-5(in press)に報告した。
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