医学界において従来の治療法の限界が明るみになると共に、生活環境の急激な変化や、原因不明の疾患に対応できない人体の諸症状に遭遇することも少なくない。これらに対して、医学の新たな方向性である代替医療の1つとして、東洋医学、特にハリ療法に着目し、発生学の観点も踏まえ研究をおこなった。また、臨床への応用にあたり、ハリに対する恐怖心や感染の問題などを考慮し、ハリに代わるものとしてCO_2レーザーを応用し、ハリと同様の効果をあげたことを報告する。 今回の研究において、ハリ療法の効果判定の手段として、施術中の体表面温度の変化を経時的に記録するサーモメーターを応用し、ツボ刺激によって反応する部位の特定に応用した。また、CO_2レーザーの導入にあたり、術者の熟練度やレーザーの照射方法による誤差を避けるために、試作チップを用いたCO_2レーザーシステムを開発した。 以上のことから、特定のツボに限局してではあるが、ツボと経絡、経絡上の遠隔部のツボにおける変化を詳細に検討し、それらの相互作用や関連性、生体反応機序、効果の持続性などを確認した。さらに、従来のハリ療法におけるハリの代わりとして、CO_2レーザーを用いて、同様の効果、反応を惹起するために必要な、新たなCO_2レーザーシステムの検討もおこなった。 その結果、特定のツボにおける経絡との反応の関連性が明らかになり、臨床上においても一定の効果を認めた。また、試作チップを用いたCO_2レーザーシステムの検討により、ハリ療法と同様の効果が得られることも確認し、臨床応用への可能性が示唆された。今後、さらに研究をおこない、新たなツボと経絡の関連を探求するとともに、CO_2レーザーシステムのさらなる確立を目指したい。
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