磁場の培養歯肉線維芽細胞に対する細胞内SODの動態を検討した。磁場作用においては、口腔内領域では口腔内細菌に対して増殖を抑制する作用があることを確認している。このことから、口腔内において磁場作用は生体防御と言う点において、何らかの作用を示していることが示唆された。生体において活性酸素にたいして防御的に働くSODはあらゆる炎症反応に対して抗炎症的に働くことが言われており、このことからも歯肉におけるSODの動態を検討することは、歯肉組織における免疫反応の一端を解明できると思われる。そこで、歯肉線維芽細胞に静磁場を作用させ、歯肉線維芽細胞内のSODの動態を検討した。細胞内のSODは静磁場を作用させた時間に依存してその生成量が増加した。また、静磁場を作用させて8時間後にその生成量はピーク値であった。そこで、細胞内SODレベルを上昇させた状態でLPSを作用させ、IL-1βの生成量を検討した結果、IL-1βの生成量は抑制された。このことから、LPSの刺激に対してSOD量の増加は、抗炎症的に働くことが示唆された。細胞内SODとIL-1βとの関係について藤井らはIL-1βによって細胞内SODの発現が誘導されるが、多量にSODが発現された細胞ではIL-1βの生成を抑制し、細胞障害に対して抵抗性を示すことを報告している。本研究においても磁場を作用させることで歯肉培養細胞はLPS刺激に対して抵抗性を示していることが示唆されたが、このようなメカニズムを解明するために、今後の研究予定として、磁場作用における最初の刺激としては熱作用がある事を河野らは報告している。したがって磁場作用における熱刺激に対しての歯肉線維芽細胞における免疫応答として、Heat Shock Protein(HSP)の動態を検討するとともに、HSPとSODの関係を明確にし、IL-1βの生成量抑制を今後さらに検討する予定である。
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