研究概要 |
本研究は、効率的にう蝕部分を除去できるEr:YAGレーザーを用いてう蝕を除去するにあたり、その除去のガイドとなるものを確立することを目的としている。14年度の研究において、(1)Er:YAGレーザー照射健全歯質に対するう蝕検知液の染色性,(2)Er:YAGレーザー照射歯質のDIAGNOdent値,(3)DIAGNOdent値10を指標としたう蝕除去後の歯質分析について検討してきた。15年度では、DIAGNOdent値の設定値について適切な値を検討するための実験を行った。また、14年度の研究から得られた成果の一部を論文にまとめ、日本歯科保存学会雑誌へ投稿した。以下に15年度の研究から得られた結果について報告する。 指標とするDIAGNOdent値を30以下20以上(Gr1)、20以下10以上(Gr2)、10以下(Gr3)という3つのグループを設定し、それぞれの窩底部象牙質について分析した。各グループの試料について、マイクロラジオグラム、EPMA分析、SEM観察を行った。 マイクロラジオグラム観察では、Gr1の表層にエックス線吸収度の低下した像を認め、Gr2ならびにGr3ではエックス線吸収度の低下はみられなかった。EPMA分析ではGr1において、Ca, P濃度の低下した部分を認めたが、Gr2ならびにGr3はCa, P濃度の低下はみられなかった。さらに、SEM観察から、Gr1の表面には泥様構造物を認めており、齲蝕象牙質の外層にあたる部分の残存していることが明らかとなった。また、Gr2とGr3とを比較するとGr3の方が、やや過剰に蒸散されている傾向が認められた。来年度以降、より詳細な検討を行う予定である。また、細菌の存在などについても確認できればと考えている。
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