はじめに 昨年度の実験により、微生物迅速検査装置bioplorerは、口腔内細菌の細菌数の測定に有効であることが明らかになった。 そこで、今年度は、予備実験としてさらに微生物迅速検査装置(bioplorer)で分析可能な最適な試料中の細菌濃度を検索するためにPorphyromonas endodontalisをもちいて検討を行った。さらに、近年、根管貼薬剤として臨床で多く用いられるようになってきている水酸化カルシウムを細菌に作用させた時の細菌数の測定が微生物迅速検査装置(bioplorer)を用いて可能であるかどうか検討を行った。 細菌の培養および試料の調整 今回の実験に用いた黒色色素産生菌は、根尖性歯周炎の原因菌と考えられているPorphyromonas endodontalisを用いた。細菌は嫌気下で37℃48時間の培養を行った。次に、この菌液を本年度新たに購入した分光光度計(AE-200)を用いてMcFarlandの標準液のNo.3前後の濃さになるようにABCM液体培地で調整し試料とした。 微生物迅速検査装置(bioplorer)に最適な細菌濃度の測定 培養後の菌液を10倍希釈し10^6個/mlから10^1個/mlまでの6種類の濃度の試料を作成した。これを微生物迅速検査装置(bioplorer FJ-VKH01 Panasonic製:平成14年度予算備品購入)にて測定、このデーターをコンピューターで専用ソフトを用い解析、1.0ml中の生菌数を算出した。その結果、微生物迅速検査装置bioplorerは、10^5個/mlから10^3個/mlの範囲内がPorphyromonas endodontalisの菌数測定に最適であることが明らかになった。 水酸化カルシウム作用時の細菌数の測定 一般的な根管貼薬用水酸化カルシウム製剤の水酸化カルシウム濃度である24%になるように水酸化カルシウムを、直接、培養後の菌液に加え、微生物迅速検査装置(bioplorer)にて測定を試みた。その結果、本装置では水酸化カルシウムが残存している試料の細菌数検出は困難であった。このことから、今後、水酸化カルシウム粉末を作用させた時の細菌数の測定に本装置を用いるためには、試料の調整方法を検討する必要があることが明らかになった。
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