前年度は、B.forsythus染色体DNAのライブラリーを作製し、抗270K抗血清を用いてコロニーイムノブロット法によりS-layer遺伝子の発現株を選択中であった。 1.B.forsythus S-layer遺伝子発現株の選択 必ずしも発現ベクターでなくとも、目的遺伝子の蛋白発現が可能であることを考慮して、ベクターにpBR322、ホストにE.coliHB101を用いたが、今回発現株を得ることはできなかった。 最近米国TIGR社よりB.forsythusの遺伝子配列の一部が発表された。現在我々は、S-layer蛋白質の1つと考えられる分子量約230kDa蛋白質(230K)のN末端アミノ酸配列が分析済みである。このため230K遺伝子の5'末近傍にプライマーを設計し、PCR後、得られた断片を適切なプラスミドベクターに組み、接合によりB.forsythusに変異を起こさせ、様々な方法でS-layerの有無や状態を調べることが可能である。 1.プラスミド作製およびクローニング 230K遺伝子の5'末近傍にプライマーを設計し、PCRにより2734bpの断片が得られた。このPCR断片をpCR-Blunt II-TOPOに組込み、クローニングした。Hind III(1436bp)断片を切り出し、pMJF-ΔR11(ニューヨーク州立大学バッフアロー校、本間博士より贈与、8932bp)に組込み、E.coli DH5αに導入してクローニングした。 2.電気泳動によるクローニングの確認 プラスミド抽出後、数種類の制限酵素により、目的のプラスミドであることを確認した。今後、ヘルパーE.coli RK231と共にB.forsythusと接合させ、B.forsythusに変異を起こさせて、得られた変異株のS-layerの有無や状態、性質、機能解析、遺伝子領域の解析を行っていく予定である。
|