本研究課題では、DSP(Digital Signal Processor)によるディジタル信号処理を応用することで顎運動測定器のシステムの小型化、汎用化を目的とした。平成14年度には「DSPを制御する基本的なプログラムの開発」を目標に、DSPの開発技術の習得を行い、DSPを制御する基本的なプログラムの開発を行った。平成15年度には「顎運動センサの小型化の研究開発」を目標に直径の異なる3つの円形コイルを組み合わせた3軸コイル(直径20mm、重さ9.0g)を開発した。この小型3軸コイルを使用して被験者の顎運動測定を行った結果、咬頭嵌合位の位置の安定性は0.009〜0.289mm、姿勢の安定性は0.0003〜0.197°と、測定データの解析に耐えうる精度を維持したままで測定器の操作性が向上するとともに被験者への負担も軽減できた。平成16年度は、これまでの2年間の研究成果を基に「DSPを用いた顎運動測定器のプロトタイプの完成」を目標とし開発を進めてきた。現在、DSPボードと信号入出力ボードを用いた顎運動測定器のプロトタイプの製作を行っているが残念ながら研究期間内に完成には至らなかった。しかし、本研究課題を通して、DSPを応用した顎運動測定器の開発に必要なハードウエア・ソフトウエア両面の技術は習得できており開発の目途は立っている。この研究成果の一部は第34回日本顎口腔機能学会学術大会(徳島)、第11回ICP(ギリシャ)にて報告予定である。また、平成17年度科学研究費に現在申請中の研究課題では、本研究課題から得られた研究成果を基に、従来の顎運動測定器が持つ問題点をほとんど全て解決できる測定器の開発へと発展させる計画である。
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