1 目的 一般に局部義歯の前歯部人工歯の色調は、製品を選択した後に、その製品に用意された色調の中から選択されることが多い。またその際の方法には視感比色法が用いられる場合が多く、客観的な色調の決定法はあまり行われていない。そこでチェアサイドで簡便に用いることができる測色計を応用して多くの製品の人工歯から簡便かつ客観的に色調を選択する方法に着目した。 今回は人工歯の色調選択の現状を把握することを目的として、天然歯の色調と局部義歯に使用された前歯部人工歯の色調を調査し、その相違について検討をした。 2 方法 天然歯の色調の調査は、本学補綴科に来院した患者133名(男性38名女性95名)を対象者とし、測色計シェードアイ(松風)を使用して歯冠修復の行われていない上顎6前歯の色調を測色した。色調はVITAクラシカルシェードガイドにおいて、その歯牙の色調に相当するガイドナンバーとした。使用された人工歯の色調の調査は、本学補綴科にて上顎前歯部に人工歯と天然歯が混在する局部義歯を作製した769症例を対象とした。また双方の中切歯における、天然歯の色調の分布と人工歯の色調別使用頻度について比較した。 3 結果と考察 天然歯の色調はA系統39%、B系統7.2%、C系統27.8%、D系統26%であったのに対し、人工歯の色調別使用頻度はA3が44.7%とA3.5が46.9%と両者で91.6%を占め、天然歯の色調と人工歯の色調別使用頻度は有意に異なることが分かった。
|