プラズマ照射器およびLED照射器の特性を捉え、ハロゲン光照射器との比較を行うと共に各種光照射器の特性がシェードと組成の異なる光重合レジンの重合性および色調安定性に及ぼす影響を調べた。 1.光強度の測定 3機種の中でプラズマ照射器が最も光強度が高く、ハロゲン照射器の約2倍、LED照射器との比較では約10倍もの光強度を示していた。 2.光重合レジンの重合性 市販光重合レジンの硬化深さを3種のシェードを使って測定し、その重合性を調べるために深さ方向にヌープ硬さを測定した。照射時間はプラズマ照射器では3秒および9秒、LED照射器とハロゲン照射器については20秒および60秒について測定を行った。硬化深さは各照射器共に照射時間の延長と共に大きくなっていた。色調別ではA3、B3、C3の順で硬化深さは大きかった。ヌープ硬さにおいても光照射量の多いプラズマ照射器が同様の結果を示した。また、ハイブリッド型に比べ、超微粒子フィラー型の光重合レジンは各光照射器で硬化深さおよびヌープ硬さ共に低い値を示した。 3.光重合レジンの色調安定性 ISO4049にしたがって各光照射器で重合した光重合レジンについて耐光試験を行ない、耐光試験を行わない試料をコントロールとして色差ΔE*abを分光測色計を用いて測定した。ΔE*abは各照射器共に照射時間を延長した試料の方が値が小さく、また、光照射器のロッドの中心部と辺縁部の比較では光強度の強い中心部の方が値が小さく色調安定性に優れていた。 以上の結果により、光照射器による重合性の違いが光重合レジンの重合性および色調安定性に影響を及ぼしていることが示唆された。今後、試作レジンを作製し、重合性に影響を及ぼす原因の一つであるフィラーとマトリックスレジンの屈折率の差と各光照射器の特性との関係についても引き続き実験を行う。
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