研究概要 |
本研究は、近い将来臨床応用が期待されるbone morphogenetic protein (BMP)-2の骨形成メカニズムが、プロスタグランジンE_2の合成酵素であるcyclooxygenase(COX)-2を介することによって促進されていることを、ノックアウトマウスを用いてin vivoで検討した。リコンビナンヒトBMP-2(10μg/ペレット)をI型コラーゲン溶液(0.4ml)に溶解、凍結乾燥の後、直径3mmの球状ペレットを作製し、7週齢のCOX-2ワイルドタイプ(+/+)とCOX-2ノックアウト(-/-)マウスの腰部皮下に移植した。各々のマウスには右側にBMP-2ペレットを、左側にvehicle(PBS with 0.1%BSA)ペレットを対照的に埋入した。両群ともその後通常に飼育し、21日後にペレットを摘出し、microCT(Scanco Medical AG, Zurich, Switzerland)にて撮影、mineral volumeを定量した。その結果、vehicleペレットではワイルドタイプ、ノックアウトマウスとも全くmineralizationが見られなかったが、BMP-2ペレットはワイルドタイプにおいて約1.4mm^3と皮下に異所性骨化を引き起こしていた。そして、その効果はノックアウトマウスでは約0.3mm^3と有意に(p<0.01)抑制を受けていた。このことから、生体内におけるBMP-2の異所性骨化能は少なくともCOX-2を介していることが分かった。
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