研究概要 |
正常口腔粘膜上皮-上皮異形成-扁平上皮癌におけるp53の遺伝子変異の有無を調査することが研究目的である。平成14年度は、正常粘膜上皮症例2例、上皮異形成症例2例、扁平上皮癌症例2例のホルマリン固定パラフィン標本を用いて条件設定のための予備実験を行った。予備実験の結果、P53のPCR産物が得られexon5からexon8までのダイレクトシークエンスを行ったところ、6例中1例のrxon5に変異がみられた。このことから、ホルマリン固定パラフィンブロックからのp53ダイレクトシークエンスが可能であることが確認できた。 平成15年度は,正常上皮,上皮異形成,扁平上皮癌の計77例を対象にp53ダイレクトシークエンスを行った.現在,結果を解析中であるが上皮異形成,扁平上皮癌において多くのp53遺伝子変異が認められている.今後,データの解析を進め,前癌病変ではp53が機能し,細胞にかかるストレスをアポトーシス誘導して処理し、p53が変異しアポトーシスで処理できなくなったため癌となる、との仮説を検証する。 総括。研究者は正常上皮、上皮異形成、扁平上皮癌の77例の免疫組織化学的p53標識率とアポトーシスインデックスのデータを有しており、平成15年度行ったp53ダイレクトシークエンスにより、口腔扁平上皮から上皮異形成、扁平上皮癌へと進行する癌化過程でのp53statusの解析が可能となった。
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