研究概要 |
私は本年度,歯髄(三叉神経)への痛み刺激による副腎の関係を観察している。すなわち三叉神経痛み刺激による副腎カテコールアミン(エピネフリン)・副腎サイトカイン(インターロイキン1β)・副腎臓器血流・の関係を観察している。ラットを電気刺激し,その時の刺激前から刺激後の副腎の影響を観察した。 全ての神経生理学的実験を雄性ラットを用いて行った。麻酔薬のハロセンと筋弛緩薬を用いて,麻酔導入・維持および不動化を行った。開腹し,副腎静脈から採血を行う。さらに三叉神経痛み刺激は,上顎歯髄へ電気刺激(50Hz,500μsec,5.0mA)を行った。エピネフリンは、高速液体クロマトグラフィーで測定し、サイトカイン(インターロイキン1β)はELISAキットで測定した。副腎臓器血流は、本年度購入したレーザー血流計で、刺激前から、刺激直後まで経時的に測定した。 さらに、エピネフリン測定群、インターロイキン1β測定群、血流測定群に分け、さらに各々を刺激群、無刺激群と比較して検討し、以下の結果を得た。 1 副腎静脈エピネフリン分泌速度 上顎歯髄刺激後、エピネフリン分泌速度は、刺激直後から上昇を認め、刺激終了5分後にから刺激後10分まで有意に上昇した。 2 副腎インターロイキン1β インターロイキン1βは、無刺激群と比較して有意に上昇した。 3 副腎臓器血流 副腎臓器血流は、刺激前から経時的に測定した。刺激直後から、上昇した。 以上より、三叉神経への痛み刺激により、副腎臓器血流が増加し、さらにエピネフリンおよびインターロイキン1βの分泌量の増加を認めた。今後、副腎臓器血流の観察を追求し、さらに、条件を変え、観察する予定である。
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