【平成14年度】 1.LCM法による癌細胞の回収および性状解析 同意の得られた口腔癌患者10例の手術時検体から、Cell Robotics社製のCRI-337を用いたLaser Captured Microdissection(LCM)法にて約200個の癌細胞のみを切り出し、Total RNAを抽出した。このTotal RNAを2群にわけ、一方はRT-PCR法にて癌関連遺伝子のm RNA発現状況を解析した。その結果、LCM法にて回収された口腔癌細胞は、癌関連遺伝子群のうち、CK-19を80%の症例で発現していた。また、細胞外基質分解酵素群のうち、MMP-1および2を30%の症例で発現しており、MMP-7は60%の症例でその発現が確認された。一方、転移の成立に重要な接着因子のうち、CD44Sは20%、CD44v6およびv9は30%の症例でその発現が認められた。 2.Gene Chipによる癌関連遺伝子の発現解析 新規設置されたGene Chip発現解析システム(Affymetrix)の予備実験として、マウスのtotal RNAを試料とし、Gene Chip Test Arrayを用いて解析した。その結果、試料から合成されたf-cRNAの泳動パターンは、ほぼメーカー推奨通りのパターンが確認された。また、Test Array解析では、マウスに種特異的な遺伝子発現パターンが得られた。この予備実験の結果を受け、現在、口腔癌患者の癌細胞からLCM法で回収したもう一方のTotal RNA群について、Gene Chip発現解析システム(Affymetrix)を用いて癌関連遺伝子群の包括的発現パターンを解析中である。
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