平成15年には、本学現有設備であるMR撮像装置を用い、本学解剖学教室が保存している系統解剖実習用遺体を無作為に抽出し顎関節の撮像を行った。画像を観察し下顎頭に関しては形態分類および骨変化の有無を観察し、関節円板に関しては形態分類および転移の有無を観察した。さらに加齢による下顎頭の変化を明確にする目的で、系統解剖実習用遺体より摘出した下顎頭を用い、形態分類と骨変化の有無について検討し報告した。対象は本学解剖学教室が保存している系統解剖実習用遺体のうち、実習にて解剖された男性87体、女性101体、計188体(376関節)で、年齢は48歳〜107歳までの平均76.8歳である。摘出された下顎頭を肉眼にて観察し、前頭面観をYale分類に従い、convex、flat、angled、roundにconcaveを加え分類した。さらに、矢状面観についても観察しconcavity、osteophyte、flatteningといった関節機能面の形態上の変化の有無について検討した。下顎頭前頭面観をyaleに従い分類してみると、72.9%(274関節)がconvex typeであった。関節機能面の変化はflatteningが13.0%(49関節)、concavityは23.1%(87関節)、osteophyte4.2%(16関節)にみられた。性差をみてみると、concavityは男性27.0%(47関節)、女性20.8%(42関節)と大きな差は認められなかったが、flatteningをみてみると男性6.3%(11関節)、女性18.8%(38関節)と差が見られた。本年は、これらの画像所見から骨変化の著明な個体を選別し組織切片を作成する予定でいる。
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