研究概要 |
種々の口腔レンサ球菌を用いて,その培養上清中に骨芽細胞の細胞間情報連絡を阻害する因子が含まれているか否かを検討した。mutans streptococciでは血清型による傾向は見られず,Streptococcus sobrinus OMZ176が最も強い抑制作用を有していた。そこで以後の研究はStreptococcus sobrinus OMZ176を用いて,骨芽細胞MC3T3-E1に対する種々の作用を検討した。その結果以下の結果を得た。 1.細胞間情報連絡阻害作用は濃度依存的に上昇し,5%で約50%の阻害率であった。それ以上の濃度でも阻害作用は上昇しなかった。 2.細胞間情報連絡の阻害は,培養上清が存在する限り継続するが,培養上清を除去すると24時間でコントロールと同程度まで回復した。 3.Streptococcus sobrinus OMZ176培養上清5%存在下で培養したMC3T3-E1のosteocalcin, bone sialoprotein mRNA発現をreal-time RT-PCRで測定するとコントロールに比べ20〜30%に抑制されていた。 以上の結果からStreptococcus sobrinus OMZ176培養上清はMC3T3-E1の細胞間情報連絡を阻害し,同じに細胞分化をも著しく抑制することが明らかとなった。
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