研究概要 |
本研究は骨細胞様細胞株MLO-Y4へのフッ化物添加における細胞の増殖を検索すると共に骨のホメオスターシスに重要な役割を担っていると考えられる、Gap Junction蛋白connexine43の発現および局在を検索した。細胞には、骨細胞様細胞株MLO-Y4およびコントロールとして骨芽細胞株MC3T3-E1を用いた。細胞培養はType I collage-coated dishesにて、10% fetal bovine serumを含むα modified essential medium (αMEM)を用いた。フッ化物はNaFを用い、NaF濃度を1ppm,10ppm,100ppmに調製し、細胞に添加した。細胞増殖能の測定は、60mm Type I collage-coated dishesに細胞数2×10^5個/mlを播種し、24時間培養した後、無血清培地に変えて各濃度のNaFを添加し、24時間後に無処理細胞および各濃度のNaF処理した細胞の増殖能をdirect countとXTT assayにより評価した。また、MAP kinase inhibitor UO126 10μMを無処理細胞および100ppm NaF処理した細胞に添加し、同様に増殖能を評価した。Gap Junction蛋白connexin 43の局在の検索は、無処理細胞および各濃度のNaF処理した細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定後、anti-rabbitconnexin 43を用いて免疫染色し、共焦点レーザー顕微鏡にて染色部位を定量化した。その結果骨芽細胞では、フッ化物添加により細胞増殖するといわれているが、MLO-Y4でも同様に細胞増殖が認められた。MAP kinase inhibitorを添加した場合、細胞増殖が抑制されたことから、MAP kinaseを介するシグナル伝達が関与することが示唆された。しかし、Gap Junction蛋白connexin 43発現に有意な差は認められなかったことから、骨芽細胞の増殖における細胞間ネットワークが維持されることが示唆された。
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