研究概要 |
平成15年度は,平成14年5月の調査開始から平成16年2月までに乳幼児歯科保健事業に参加した小児を対象とした解析結果を報告する。1歳児93名,2歳児65名,3歳児19名の計177名が対象となった。初回および初回から3か月〜6か月後の2回の事業に参加した,健全歯のみの小児(41名)と同じくCOを有する小児(56名)のカリオスタットの結果を比較したところ,健全歯のみの小児では(-)の維持または(1+)以上から(-)に変わったリスク改善群の割合は51.2%,(1+)以上の維持または(1+)以上に変わったリスク不変・悪化群の割合は48.8%であり,ほぼ同数であった。一方,COを有する小児ではリスク改善の割合は30.4%,リスク不変・悪化の割合は69.6%であり,本事業の健診ではCOの本数増加や悪化は認められなかったものの,カリオスタット法によるリスクの改善傾向はみられなかった。また健全歯のみの小児とCOを有する小児を合わせたカリオスタットリスク改善群では,間食の時間を決めて与えているという回答が52.1%であり,リスク不変・悪化群における回答の39.1%を上回っていたものの,間食の種類および種類数については差は認められなかったことから,リスク評価にカリオスタット法を併用した保障指導を行う場合には,食生活習慣にけじめをつけるような指導が必要になることが示唆された。また食生活習慣は家族構成に影響を受け,またそれに伴いう蝕数にも影響することも考えられるが,調査協力の得られた41名の対象者については,家族構成人数が増えても間食摂取習慣に変化はみられず,また家族構成人数とう蝕の本数(COを含む)との相関係数は-0.2であり相関を認めることはできなかった。
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