研究概要 |
摂食・嚥下機能における口唇の役割は,食物の捕食咀嚼時に食物が口腔外へもれることを防ぐとともに,口腔前庭に落ち込んだ食物を固有口腔へ戻すなどきわめて重要である。また,摂食機能の発達過程においても口唇運動は著しく変化することが知られている.このような理由から,咀嚼時及び嚥下時など摂食・嚥下機能に関わる口唇の運動解析が広く行われてきた. 咀嚼時の口唇は,咀嚼側口角が引かれる動きが認められることが知られている。また,咀嚼時の舌は,食物を臼歯咬合面へ保持するため咀嚼則へ寄りまた咀嚼側歯列に傾斜することが認められている.しかしながら現在まで,咀嚼時の口唇の動作と舌の運動との関連性を検討した研究は認められていない. 研究代表者は,咀嚼時の口唇の動作と舌の運動との関連性を明らかにすることで,その結果が摂食・嚥下リハビリテーションの臨床において咀嚼時の評価に有効であろうと研究を計画した. 今年度は,補助金にて購入した3次元位置解析システムが実験目的にかなう精度であるか確認するための検討を行った.先行研究から,カメラ間の角度を50度に設定し,咀嚼時口唇運動が認められる範囲と予想できる空間を金属製のグリットで設定し,計測を行った.また,3次元位置解析システムから得られた3次元データを既存の3次元動作解析装置にて3次元動作として描出が可能であった. 次年度は,3次元標点自動追尾動作解析装置を用いて健康な成人の咀嚼時の口唇の運動動態を3時元的に明らかにし,3次元標点自動追尾動作解析装置と超音波診断装置の同期を行った上で咀嚼時の口唇の動作と舌の運動との関連性を明らかにしていく予定である.
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