研究概要 |
平成15年度の成果によりラット頭蓋骨をソケットリフト実験モデルとして利用できることが確立されている.平成16年から行った実験結果から,既存骨と骨膜とのスペースには自家骨がなく血餅のみでも比較的早期に骨形成がなされることが分かった.骨形成は脳硬膜側の既存骨表面とリフトした脳硬膜骨膜側の双方から確認された.自家骨をスペース内に充填した場合は,血餅のみで行う場合よりもスペース全体から骨形成が開始されるため,インプラントを支持する周囲骨の形成の成熟が早期になされることが示唆された.これらの成果の一部はITI Japan sympojium(6/4-6/6 東京)にて発表を行った,関連研究と関連臨床報告は日本顎咬合学会(6/12-6/13東京),Osseointegration study club of Japan(6/26-6/27 東京)にて報告があり,当研究の結果との情報交換を行った結果,有益な情報が得られた.これらの成果を元に,実際の臨床でのソケットリフトの改良を考え,3段階にソケットリフトをすることで,血餅のみでも最終的にはインプラント周囲に十分な支持骨が得られることを想定した実験系を開始した.理論的には可能であるが,術式的に3回のソケットリフトを成功させることにはかなりの高度な手術手技と配慮が必要であることがわかった.実験で得られた3段階のソケットリフト法の結果は,Osseointegration study club of Japan Midwinter meetingにて国内外のインプラント研究者から批評を得た.さらなる結果の確認が必要であることが示唆されたため追加実験が必要であること,加えて自家骨と血餅というパラメータ以外に,各種骨補填材を側用したときのリフトスペース内の骨形成動態を観察する必要が臨床的見地からあると示唆された.結果をInt J Oral Maxillofac Impl誌に投稿準備中である.
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