破骨細胞の形成にはが促進的に、OPGが抑制的に関与しており、両因子のバランスが骨吸収調節に重要であると考えられている。これら因子は多種の細胞より産生されることがin vivoならびにin vitroの研究で示されている。しかしメカニカルストレスによる骨吸収における両因子の存在や関与は明らかでない。そこでラット歯牙に過剰な咬合力を作用させて根間中隔に穿下性骨吸収を誘導し、RANKLとOPG陽性細胞を免疫組織学的に検出した。そして破骨細胞数と両因子の割合の経時的な相関を検討した。その結果、歯牙へのメカニカルストレスによる骨吸収でもRANKLやOPGの発現が変化することが認められた。さらに血管内皮細胞や線維芽細胞におけるRANKL/OPGの割合の増加が、破骨細胞形成に大きく関与していることが示唆された。この結果は第20回日本骨代謝学会にて報告した。現在同モデルにおいて、RANKL/OPGの割合の変化に影響を及ぼす因子について検討している。その結果、過剰な咬合力により根間中隔で低酸素状態が起こることならびにIL-1β産生細胞が増加することが確認され、これらがRANKL/OPGの割合に影響を及ぼしていると考え実験継続中である。また来年度はLPSを歯肉に注入することでラット歯周炎モデルを作成し、今年後用いたの咬合性外傷モデルとの骨吸収メカニズムの違い、ならびに炎症性細胞の影響を検討する。炎症性細胞の中でも特にRANKLを発現し破骨細胞数を増加させると言われているT細胞の関与を、T細胞を先天的に欠如したヌードラットを用いて調べていく予定である。
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