研究概要 |
本年度は、歯肉および歯根膜由来線維芽細胞におけるインテグリンαvβ3・活性型MMP-2complexの機能の解析を行うにあたり、MMP-2の阻害剤MMPI batimastat (BB-94,British Biotech)を培養系に添加し、それに伴う細胞層および培地中の弾性系繊維構成成分(フィブリリン、エラスチン)を生化学低に定量比較し、その合成と分解能を比較考察した。 1.MMP-2の活性を培養4週から6週のかけて計2週間添加したところ、歯根膜線維芽細胞においてフィブリリン-1の細胞層への沈着量には変化が認められなかった。 2.同様の阻害剤添加によりフィブリリン-2の沈着量は有意に増加した。 3.歯肉由来繊維芽細胞層におけるトロポエラスチンの沈着量には増加傾向が認められた。しかし、トロポエラスチンの沈着の変化が微細繊維の変化によるものかは更なる検索が必要である。 今回の結果から、歯根膜線維芽細胞においてMMP-2が酵素基質としてフィブリリン-2を認識していることが示された。フィブリリン-2のRGD配列は、インテグリンαvβ3のターゲットであることから、インテグリンαvβ3・活性型MMP-2 complexの機能においてフィブリリン-2が間接的に関与していることが示唆された。
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