研究概要 |
平成14年度は加齢による歯肉線維芽細胞DNA修復活性の変化をみるための研究を行った。まず、北海道医療大学付属病院を受診した患者の中から全身疾患の既往歴のない若年者(10歳代〜20歳代),高年者(50歳以上)を選択し被験者とし、インフォームドコンセントを得た後,抜歯時に抜歯対象歯周囲の歯肉から歯肉片を採取する。細胞をコンフレント状態になるまで培養し,その後シャーレから細胞を剥離して細胞数を調製し再度シャーレに播種する。このようにして,ヒト歯肉線維芽細胞を継代していき、7代継代培養した細胞(7代継代細胞)と14代継代培養した細胞(14代継代細胞)を使用した。本研究では,培養したヒト歯肉線維芽細胞に炎症性サイトカインのひとつであるTNF-αを添加したDMEMを加えることにより老化促進因子といわれる酸化的ストレスを引き起こし8-OhdGという活性酸素を人工的に発生させた。その後,0、1、3、5、8、12、24時間ごとに細胞と上清を回収し細胞中および培養上清中の8-OHdG産生量を市販の8-OHdG測定キッドを用により測定しDNA傷害の程度を評価した。また,細胞内DNA傷害を経時的に測定することにより,DNA修復活性をDNA中の8-OHdG量の回復時間を評価した。今までのデーターからは、全体的に高齢者と若年者では高齢者のほうが8-OHdG量が多く、また継代数の高い方が低い方より8-OHdG量が多く産出された。刺激開始後8時間までに最大値を示し、24時間以内にはもとの量にもどることがデーターより明らかになった。
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