食物成分(food factor)23種について、JB6 mouse epidermal cell line JB6 Cl41量を用いて発癌プロモーション過程と見なされるcell transformation抑制作用を検討した結果、大豆などに含まれるdaidzeinやグレープフルーツや夏みかんの皮等に含まれるnaringeninが比較的強い(30%-40%)cell transformation抑制作用を持つことが示された。また、お茶やコーヒーなどの成分であるcaffeineが高濃度(0.25mM-1mM)ではあるが、細胞毒性なしでcell transfomationを70%程度抑制することを見出した。そこで、caffeineがcell transformationに関わっている細胞内シグナルを制御しているかを検討したところ、これまでこの細胞のcell transformationに重要な役割を果たしていることが知られている転写因子activation protein-1 (AP-1)のtranscription factorの活性およびその上流に位置するmitogen activated protein (MAP) kinaseのextracellular signal-regulated protein kinases (Erks)の活性には大きな影響を及ぼさないものの、phosphatidylinositol 3-kinase (Pl3 kinase)に関わる経路を抑制することを示唆するデーターを得た。次年度は、この経路におけるcaffeineのシグナル制御およびdaidzeinやnaringeninの細胞内signal pathwayへの関与を明らかにする予定である。
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