sPLA_2-IIA発現誘導に関与する生理活性脂質の検索:すでに樹立した12/15-LOX過剰発現3Y1細胞をIL-1β/TNFαで刺激後、経時的に細胞を回収しBligh & Dyer法によりそれぞれの総脂質を抽出した。また、mock細胞も同様の操作を行った。これらの総脂質を、あらかじめcPLA_2阻害剤で前処理した野生型3Y1細胞にIL-1β/TNFαで刺激する直前に添加し、サイトカイン刺激24時間後のsPLA_2-IIA発現誘導に及ぼす効果を検討した。その結果、cPLA_2阻害剤によるsPLA_2-IIA発現誘導の抑制は、12/15-LOX過剰発現細胞またはmock細胞のいずれにおいても、刺激をしていない細胞より調製した脂質を添加しても回復しなかったのに対して、30分〜6時間刺激した細胞由来の脂質の添加により顕著に回復した。また、24時間刺激した細胞由来の脂質を添加しても回復が認められなかったことから、細胞を刺激した直後から数時間以内に産生される脂質中に、sPLA_2-IIA発現誘導を調節する生理活性脂質が一過的に産生される可能性が考えられた。また、このsPLA_2-IIA発現誘導の回復は、12/-15-LOX過剰発現細胞由来の脂質を用いた場合、より顕著に観察されたことから、この生理活性脂質は、12/15-LOX由来の産物である可能性が示唆された。 LysoPCシグナルによるsPLA_2-IIA発現の制御機構の解析:ごく最近報告された二種のLysoPC受容体、G2AとGPR4が3Y1細胞に内在的に発現しているかについてRT-PCR法によって検討を行った。その結果、G2Aはごく微量検出されたのに対して、GPR4の発現は検出されなかった。また、GPR4を過剰発現させた3Y1細胞株を樹立し、これらの細胞を用いてIL-1β/TNFα刺激によるsPLA_2-IIAの発現誘導に及ぼす効果を検討した結果、sPLA_2-IIA発現誘導は対照細胞と顕著な変化は観察されなかった。G2A過剰発現細胞の樹立ならびにsPLA_2-IIA発現誘導に対する効果については、現在実施中である。
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