研究概要 |
蛍光プローブとしてBODIPYは高い量子収率と低いpH依存性を有しており極めて有用である。しかしながら簡便な合成方法がないため、まず初めに合成方法の確立を行った。その結果、塩化クロライドとピロールを1,2-ジクロロエタン中で加熱還流し、フッ化ボロンを添加することにより、1段階でBODIPY骨格を合成する方法を確立することができた。特に電子供与性基を有する塩化クロライドを用いた場合、最大収率18%という高収率にてBODIPY骨格を有する化合物を得ることが出来た。この方法を用いることにより様々な位置に置換基を導入したBODIPYを合成することが可能になった。そこでp置換型ベンゾイルクロライドを1,2-ジクロロエタン中で加熱還流することにより、p置換フェニルを8位に導入したBODIPYの合成を行い、置換基による蛍光への影響について検討した。p置換フェニルを8位に導入したものを2種、脂肪族のものを2種合成し、これらの励起波長および蛍光波長を測定したところ、8位がメチル基の場合、励起波長490nm、蛍光波長500nm、t-ブチル基を導入した場合、励起波長495nm、蛍光波長515nmとなった。一方、8位がフェニル基の場合、励起波長505nm、蛍光波長510nmで、p-アセチルフェニルを導入したものでは、それぞれ500nm、510nmとなり、蛍光波長、ストークスシフトの大きさはともにほぼ変わらなかった。このことから8位のフェニル基のパラ位の置換基は蛍光波長に影響を与えないことが明らかとなった。これは原子模型等の結果からフェニル基がBODIPY骨格に対しほぼ垂直になっていることから、共鳴系が及ばないためであると考えられる。この結果から、BODIPY骨格の8位のフェニル基のp位にmRNA認識部位をつければ、蛍光特性を変化させることなく、蛍光プローブを作成できることが示された。
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