1.二分子のペプチドを有するPEGハイブリッド体のデザインとその合成 ペプチドの合成は固相法が発達しており、長鎖ペプチドでも近年では合成できるようになった。二機能型ペプチド-PEG(ポリエチレングリコール)ハイブリッド体を固相合成するために、固相上でPEGを導入する手法の開発を検討した。PEGの両端の一方をCOOH基、もう一方をアミノ基へと変換したアミノ酸タイプのPEG(Fmoc-aaPEG-OH)の簡便な合成を検討し報告した。Fmoc-aaPEG-OHを利用し、他のアミノ酸と同じように固相上の合成に供した。C端、N端に細胞接着配列関連のペプチドを導入したbivalentなハイブリッド体(PHSRN-PEG-RGD)の合成に成功した。このハイブリッド体について、マウスメラノーマ細胞における癌転移抑制活性を検討し報告した。 2.アポトーシス活性をもつハイブリッド体の合成 RGD配列のもつcaspasc 3に対するダイレクトな活性化作用に注目し、細胞内でアポトーシスを誘導するようなPEGとのRGD-PEGハイブリッド体の合成検討を行った。まず、PEGの分子量サイズを2000から3000のものを選択し、RGD配列のみのPEG-RGD、RGD-PEG、またさらに活性の高い配列GRGDNP-PEG、PEG-GRGDNPのハイブリッド体を合成した。現在、そのコントーロールペプチドRGDおよびGRGDNPとともにそのアポトーシス活性を測定中である。
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