1.多分子型のペプチドハイブリッド体のアポトーシス活性:前年度合成した多分子型のPEGハイブリッド体についてアポトーシス活性を測定した。強い細胞死を誘導する活性が、観察されたものの、アポトーシスの誘導によっておこるDNAフラグメンテーションなどの細胞の形態変化が観察されなかった。引き起こされた細胞死は、表層でのインテグリンを介うる接着を阻害したことによるものかどうか現在検討中である。 2.細胞接着関連ペプチド(RGD)とPEGとのハイブリッド体を付与したアデノウイルスベクターの作成とその遺伝子導入効率:すでに、ポリエチレングリコールを付与したアデノウイルスベクターが、遺伝子導入のできることが報告されている。ペプチドが2分子ついた2分子型PEGハイブリッド体[(YGGRGDTPβA)2-PEG-βACをデザインした。このハイブリッド体は、Fmoc法に従って固相合成した。PEGは、アミノ酸型のFmoc-PEG-OHを用い、固相上で導入した。また、ベクターの表層タンパク質のリジン側鎖のアミノ基など求核性の官能基を介し、アミド結合などでハイブリッド体を付与できるよう、ハイブリッド体のPEGの末端Cysに活性エステルを導入した。このようにして調整したハイブリッド体活性エステルを用いてベクター表層にハイブリッドを付与した。作成したベクターは、PEGのみを付与したベクターよりも高い遺伝子導入効率を示した。
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