本研究は、着色加算という新しい発想の画像処理技術を駆使して、高画質のカラー画像を提供することを目指す。本手法の最大の特徴は、有用でありながら普及しなかったカラー写真法を、受け入れられやすいように背景は従来のX線像と同じモノクロで、病変などの変化部だけがカラーで表示されるようにしたことである。その結果、違和感がほとんど無く、病変などの変化部が容易に検出でき、読影者の診断能力を最大限引き出すことが可能になる。言い換えると、本手法を用いると、検出能は高まり、信頼性も向上し、なおかつ読影時間を短縮することができる。そこで、本手法をIVR検査に応用することにより、診断の容易化と検査時間の短縮が可能になり、医療被曝の大幅な低減にもつながる。 本年度は、まずこの着色加算法が有用であることを実証するため、胸部ファントムおよび模擬腫瘤陰影を用いて、検出能に付いて読影実験を行った。またこの時、読影時間も測定した。実験方法は、読影者9名(放射線科医7名および研修医2名)に協力いただいて、60枚の画像(胸部ファントムのみ:30枚、胸部ファントム+模擬腫瘤陰影:30枚)を通常のX線像のみ、着色加算像のみ、X線像+着色加算像の3パターンの表示方法で観察した。それぞれについて、連続確信度法を用いたROC曲線で解析した。その結果、X線像のみに比較し着色加算像を用いた場合、有意な検出能の向上が見られた。また読影時間においても着色加算像を用いると明らかな時間短縮が確認でき報告した。 現在、連続した大量の造影検査dataを現有の計算機へ転送するシステムの構築およびリアルタイムで取り出した画像データを着色、加算するプログラムを作成中である。一方、造影検査の場合、どの様な部位・症例・タイミングに対し本手法を用いるのが有効であるか、検討を重ねている。
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