アンケート調査により得た患者データ5800名について、在院日数(Length of stay : LOS)を探索的な患者分類法(ケースミックス補正法)として用いて患者サブグループを構成し、そのグループ間での医療効果比較を多変量解析を用いて行った。患者群を第1群(LOS:1週間以下)、第2群(LOS:8日以上、1ヶ月未満)、第3群(LOS:1ヶ月以上)の3群に分類した。医療効果の評価指標として患者満足度スケールをアウトカム指標とした。総合患者満足スケールを従属変数、患者満足領域スケールを独立変数とし、入院した診療科、外科手術の有無、長期受療の必要性、日常生活活動状態、入院回数、不安・抑鬱状態等を統計的に補正した上でステップワイズ法による重回帰分析により分析を行った。その結果、第1群では、「看護技術」や「身体的な回復」などの技術的評価指標が大きな影響をおよぼしていたが、第2群、第3群では、それらに加えて「不安・抑鬱からの改善」や「患者の意思の尊重」が大きな影響をおよぼしていた。さらに、第3群では、「痛みからの回復」が総合患者満足(アウトカム指標)に影響を及ぼしていた。従来から指摘されていた各群に共通の重要な指標として「医師の能力」や「病院の評判」に属する指標も併せて選択され、外部妥当性も確認された。このように、患者群を基準となる指標に基づいて分類、補正することにより各スケールの総合満足に与える真の影響を詳細に分析することが可能となり、先行アウトカム研究にみられた知見をさらに掘り下げた結果を得ている。
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