病院情報システムを患者の観点から評価するための指標の開発が本研究の目的である。最初の平成14年度で調査票のモデルを開発し、平成15年度では実際の患者を対象として調査を行い、外来での調査に適することが明らかとなった。平成15年度にQOLとの関連をみるために、SF-36を併用することを検討したところ、調査項目が多く調査協力が少なかったが、平成16年度から簡易版のSF-8が使用可能となり、本満足度調査票との関連も評価することができた。 対象病院は九州郊外にある電子カルテを導入した急性期型の500床規模の病院であり、平成16年7月と平成17年1月の2回外来で調査した。このように2度調査して調査票の信頼性を示す再現性について確認した。対象患者は1回目178名(男性48.8%)、2回目192名(男性38.2%)である。対象年齢は10歳未満から80歳以上まで満遍なく得られた。抜粋を報告すると、システムにより情報の共有を不安に思う人は2割、医療連携にメリットがあると思う人が5割、安全面の向上は4割が同意していた。受診して良かったと思う患者は7割、再来院も7割が希望しており高い評価が得られ、これは1回目も2回目も同様な値で、調査票の再現性を示すと考えられた。また病院の選択理由が近くだからという人は満足度が低く、医師の説明が理解できたという人ほど満足度は高かった。因子分析による構成概念妥当性について検討した結果では、1回目も2回目も同様の因子を抽出でき、妥当性もあると判断された。 SF-8については身体的サマリースコア(PCS)=43、精神的サマリースコア(MCS)=47それぞれ1回目も2回目も同じ値を示したことから、同程度の患者集団で調査できたと考えられた。そして満足度調査票とSF-8とは相関が低く、QOLとは違う次元の満足度が本調査票で測定できたと結論付けられた。
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