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2003 年度 実績報告書

微小透析法を用いたオピオイド鎮痛薬の作用部位における薬物濃度と薬理作用の解析

研究課題

研究課題/領域番号 14771338
研究機関静岡県立大学

研究代表者

黄倉 崇  静岡県立大学, 薬学部, 助手 (80326123)

キーワードモルヒネ / モルヒネ-6-グルクロナイド / 微小透析法 / 鎮痛作用 / グルタミン酸 / 脊髄
研究概要

本研究では、オピオイド鎮痛薬のPharmacokinetics(PK)/Pharmacodynamics(PD)解析系確立のため、脊髄における薬物濃度、痛覚伝達物質であるグルタミン酸(Glu)の遊離抑制作用ならびに鎮痛作用の同時測定を、ラット脊髄微小透析法を用いて行った。モルヒネの脊髄Glu遊離抑制作用と鎮痛作用は、脊髄のモルヒネ濃度に依存して増加した。両作用のEC_<50>(最大反応の50%の作用を発現する薬物濃度)は同程度であったことから、モルヒネの鎮痛作用発現に、脊髄でのGlu遊離抑制作用が関与することが示唆された。さらにこの実験系を用いて、モルヒネとモルヒネ-6-グルクロナイド(M6G)のPKとPDについて比較した。モルヒネとM6Gをラットに皮下投与したところ、M6Gの濃度時間曲線下面積はモルヒネのそれの1.7〜1.9倍高かった。M6Gはモルヒネに比べ低用量で鎮痛作用を発現し、投与量を基準にしたM6Gの鎮痛効力は、モルヒネと比べ3〜4倍強いことが示された。一方、脊髄の薬物濃度より求めたEC_<50>は、モルヒネとM6Gで同程度であり、両薬物の濃度を基準にした鎮痛効力はほぼ等しいことが示された。また、モルヒネがGlu遊離抑制作用を示したのに対し、M6GのGlu遊離抑制作用はほとんどみられなかった。これより、M6Gの鎮痛作用発現おけるGlu遊離抑制作用の寄与は小さいことが示唆された。
以上、本研究で確立した、鎮痛作用、脊髄薬物濃度およびGlu遊離抑制作用の同時解析系により、薬物濃度に基づいて評価したモルヒネとM6Gの鎮痛効力は同程度であることが示された。またモルヒネの場合と異なり、M6Gの鎮痛作用発現における脊髄でのGlu遊離抑制作用の関与は少なく、両薬物の鎮痛作用発現メカニズムの相違が示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Takashi Okura, Masanori Saito, Misato Nakanishi, Noriyuki Komiyama, Aki Fujii, Shizuo Yamada, Ryohei Kimura: "Different distribution of morphine and morphine-6β-glucuronide after intracerebroventricular injection in rats."British Journal of Pharmacology. 140. 211-217 (2003)

  • [文献書誌] 黄倉 崇, 山田静雄, 木村良平: "痛み臨床における鎮痛薬・オピオイドの選択(鎮痛薬・オピオイドペプチド研究会編)"メディカルパブリケーションズ. 7 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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