研究概要 |
EPレセプターノックアウトマウスを用いた実験のためには,マウスの胃粘膜基底部微小循環観察法の確立が必要であり,すでにマウスの胃粘膜基底部微小循環を観察することは可能であったが,実験開始し30分以上in vivoで観察していると死亡することが多く実験系の見直しに迫られた.(今年度はこの障害の解決に多くを費やしてしまった.) マウス胃粘膜基底部微小循環観察法のさらなる確立 通常のヘマトクリットは50-60%であるのに対して死亡例は65-75%となっており脱水が死亡原因と考えられた.このため生理的食塩水を0.5mL/hrで持続静注する事によりヘマトクリットを50-60%に保て,2時間近く実験出来るようになった. ラット胃粘膜基底部微小循環との比較 アセチルコリン(0.1-10μM)は用量依存的に細動脈を拡張させ,エピネフリン(0.1-10μM)は細動脈を用量依存的に収縮させた.またrat CGRP(0.01-1μM)は細動脈を用量依存的に拡張させ,その拡張はhuman CGRP 8-37 (10μM)にて抑制された.ラットと比較するとほぼ同等であった.またrat CGRPとhuman CGRP 8-37はマウスのCGRPのレセプターに作用する事が明らかとなった. マウス胃粘膜基底部微小循環観察法はエタノール胃粘膜傷害モデルに使用できるか エタノール(30%)粘膜面投与は集合細静脈,細静脈を収縮させ,細動脈を拡張させた.0.5M NaClの粘膜面投与は集合細静脈,細静脈を収縮させ,細動脈を拡張させた.あらかじめ0.5M NaClを粘膜面投与しエタノールを後より投与するとエタノール単独で見られた集合細静脈,細静脈の収縮が抑制された.以上よりラットとエタノールや高張食塩水の濃度が異なるもののラットと同様で,マウスの系もエタノール胃粘膜傷害モデルに使用できると判断された.
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