濾胞性リンパ腫は緩慢な自然史を特徴とするリンパ腫である。進行期症例に対しては化学療法が選択されるが、治療強度を上げても生存延長には寄与しないことが報告されてきたが、近年濾胞性リンパ腫の寛解維持、無病生存の延長を目指して様々な造血幹細胞移植が試みられ、またキメラ型CD20抗体が開発され優れた奏功性を有することが報告されるようになった。濾胞性リンパ腫ではbcl-2/lgH PCRを用いることで微少残存病変(MRD)の評価が可能であり、今後骨髄移植症例やキメラ抗CD20抗体においてMRDモニタリングが有用と考えられる。昨年度はbcl-2/lgH PCRにおいて定性PCRの検討を行った、9症例の濾胞性リンパ腫において検討したが、PCR陽性バンドが得られた症例は一例のみであった。そこで我々は以前よりリンパ腫のMRDについてlgH再構成遺伝子を用いた症例特異的PCRについて検討を行っているが、本年度は濾胞性リンパ腫においてMRDの検討を行った。濾胞性リンパ腫10症例において化学療法を含めた治療前より末梢血・骨髄血MRDモニタリングを行った。3症例で再発を認めたがそのうち1症例は治療後もMRD持続陽性例であった。今後定量PCRの条件等について検討し、再発とPCR定量値との関連について検討予定である。
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