本研究の目的は、地域保健福祉計画策定過程において住民参画を促進するための保健師の支援技術を具体的に提示することである。本年度は以下について実施した。 1)「住民参画による地域保健福祉計画策定のための支援技術項目」(以下、支援技術項目とする)の抽出 (1)文献からの支援技術項目の抽出:保健師関係の学術雑誌や学会資料等から、各種の地域保健福祉計画策定に関わり、良い結果をもたらしたと報告している保健師(以下専門家とする)の活動事例を収集し、収集した活動事例から「住民参画による計画策定」の促進に役だったと読みとれる専門家の活動内容を、(1)働きかけた対象、(2)働きかけの方法、(3)働きかけの意図をひとまとまりとして抽出し、「支援技術項目」として整理した。 (2)専門家へのインタビュー及び参加観察による支援技術項目の抽出:さらに具体的な支援技術項目の抽出のために、群馬県内で現在市町村健康増進計画を策定中の専門家1名に対して、インタビュー調査及び計画策定場面への参加観察を実施した。 2)全国規模での実践者に対する支援技術項目の意見調査(デルファイ法による) 1)で得た支援技術項目を、地域保健福祉計画策定に関わった経験を持つ全国の保健師(以下、実践者とする)に提示し、その適否についての意見をデルファイ法により調査する。 現段階は、全国の保健所全714か所の保健師主務者に対し、「所内及び管内市町保健師の中で、実践者であり住民参画による地域保健福祉計画策定のための支援技術について意見を述べるのに適切な保健師」の推薦を依頼し、回答待ちである。 次年度には、保健所保健師主務者から推薦のあった実践者(約300名を選定予定)に対し、支援技術項目の適否及び追加について、自らの経験に基づく意見を求める。以後、4回の調査により実践者の意見を収斂させ、「住民参画による地域保健福祉計画策定のための支援技術」を確定する。
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