研究概要 |
2001年5月にWHO国際分類ファミリーの一員として承認された生活機能・障害・健康の国際分類、すなわち国際生活機能分類(ICF : International Classification of Functioning, Disability and Health)の分類項目を保ちつつ、詳細項目を加え、地域看護学における解説付定義を加えるなどした別冊を作成することを目的として研究を行っている。就労女性の地域看護が重要課題となっていることから、特に地域母子保健領域に焦点をあてて研究を行うこととした。本年度は、妊娠・分娩・産褥およびその周辺領域で使用される解剖学的構造、生理機能、心理機能、生活機能や社会機能面の評価方法や評価基準を収集し、他の看護用語分類との整合性も含めて分類項目の作成を進めた。妊娠期および産褥期はこれまで、疾患や障害の枠では捉えられることはなかったが、ICFでいう障害の概念で分析することにより、心身機能(生理的)や身体構造(解剖学的)、活動制限や社会参加の制約、また、それらに影響する環境因子を明確にすることができると考えられる。今後、妊娠中の就労が出産結果に与える影響や産褥期における就労が母乳栄養の継続などを含めた育児へ及ぼす影響についての実証的研究も視野に入れ、そのために必要な基礎的な概念や用語分類を整備した中間案を取りまとめる。これをもとにして実地試験を行い、地域母子保健分野における現場での活用に適したICFの別冊を完成させることとする。
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