研究概要 |
1.ニュージーランドにおける臓器移植後の援助 臓器移植後の小児のQOLの現状を把握し、臓器移植後の医療者の役割について示唆を得るために、Auckland Hospital, Star Ship Child Hospitalを視察見学し、関係者と面談した。病棟入院中には、退院後に患児または家族のコンプライアンスやセルフケア能力を高めるために、パンフレットを用いた退院指導が行われていた。また、退院後一定の期間は同じ敷地内にあるファミリーサポートハウスに入所するため、移植コーディネータが面接を繰り返し、自己管理状況に応じた援助を提供していた。自宅に戻った後も、移植コーディネーターが定期的にフォロー先の看護師や医師と連絡をとり、必要に応じて自宅を訪問していた。患児および家族のニーズに応じた援助を提供するために、移植前から退院後まで一貫して関わっている移植コーディネータが、移植医療チームの連携を強化する重要な役割を担っていることが明らかとなった。生体移植を受けた子どもをもつ家族の会に参加し、4家族にインタビューを行ったところ、移植後の不安の軽減・QOL向上には、30分から1時間の外来診察時間における外来看護師、移植コーディネータ、栄養士、医師の関わり、24時間オンコールのシステム、簡便な自己管理ノートが重要であることが示唆された。 2.移植後のQOL測定尺度 移植後のQOLを測定するための尺度として、中村らが作成した生活の満足度(QOL)質問紙を使用する予定である。疾患をもつ小児のQOLを測定するには、健康な小学校高学年から中学生の生活の満足度を測る包括的な質問紙に加えて、疾患特有の健康問題を反映した健康関連QOL尺度が必須である。そこで、生体肝移植を受けた女子2名に移植後の生活についてインタビューを行った。現在インタビュー内容を分析中である。
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