1.患者の重症度変化に伴う看護ケア提供時間の変動に関する知見 1)目的:外科病棟、日勤帯における病棟全体の看護師の患者へのケア提供時間を予測する。 2)方法:10日間の24時間タイムスタディにより、胃全摘出術患者に看護師が日勤帯で費やしたケア時間を入院から退院までの45日間について一日ごとに算出した。この結果をもとに、外科病棟全50床がモデル患者と同様の経過をたどり、病床稼働率100%、各床の患者が退院した翌日に新規入院があると仮定し、病棟全体の総ケア提供時間を100日間推計した。50床の各患者の推計第1日目が入院何日目になるかという初期条件はランダムに割り当て、モンテカルロシュミレーションを行った。 3)結果:看護師がモデル患者に要したケア時間は術後2日目に2時間27分と最も多くなり、退院日には11分と最も少なくなった。病棟全体のケア時間推計は100日間の平均で、中位推計値が40時間25分、下位推計値が32時間31分、上位推計値が49時間となった(下位と上位の差16時間29分)。日勤看護師の勤務時間を9時間とすると、患者へのケア以外の時間(休憩、移動、病棟事務業務など)を2時間として、患者へのケア時間として費やせるのは残り7時間になる。日勤帯の病棟看護師数は一般的に師長1名、リーダー業務1名、その他が患者を直接受け持つスタッフナースになる。従って、上記の結果から、平均6人のスタッフナースが必要で、忙しいときには7人、暇なときでも5人必要になる。その差は2人になることから、日勤の看護師数は病棟業務量に応じて流動的に変化可能な人員配置体制をとるか、あるいは日によって病棟の業務量にバラツキが生じないような病床管理(手術件数や入退院数管理)が必要になることが示唆された。 2.平成15年度の予定 1)生活援助技術提供量の測定実験実施 2)他疾患データに基づく看護ケア提供時間推計
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