研究概要 |
平成15年度は,一地域の一人暮らし高齢者に対して,訪問面接調査を実施した.また,面接調査実施後,希望のあった対象には、地域の自治体が中心となり所属機関(大学)が協力して,ボランティアが定期的に自宅を訪問して話し相手となる「お話しボランティア」の派遣を行った. 調査の概要は以下の通りである. 一人暮らし高齢者の自立した生活への支援に向けて,地域に居住する一人暮らし高齢者を対象に,3年後の生活機能の変化を明らかにし,生活機能の維持に関連する身体的,心理・精神的,社会的要因について検討するという2点を目的とした.方法として,石川県A町に居住する一人暮らし高齢者101人を対象に,2000年(初回調査)と2003年(追跡調査)に訪問面接調査を実施した.生活機能得点の3年後の変化について,低下,維持・改善の2群に分類して検討した.その結果,3年後に一人暮らしを継続していた高齢者は80人(79.2%)であり,10名が死亡していた.一人暮らしを継続していた高齢者のうち,生活機能が低下していた対象は,50.6%であった。また,一人暮らし高齢者の生活機能の低下には,年齢,社会活動に参加していないこと,友人との電話での交流が週1回未満であることが影響していた.これらの結果から,一人暮らし高齢者が,社会活動への参加や友人・近隣と交流するという行動をとることによって,生活機能の低下を予防する可能性があることが明らかになった。また,高齢者の生活状況の特徴を把握し,生活の多様性に対応した支援を提供することも必要と考える. また,一人暮らし高齢者は生活や健康についての情報源として,テレビ,ラジオ,新聞などマスメディアを多く利用していることが明らかにされているが,今回は,電話の利用が生活機能の維持に関連する結果となった.今年度は,新たな機器を導入する以前に,電話などの利用を検討し,さらに話し相手となるボランティアの定期的な訪問によって,社会的な交流の促進を図ることを試みた.
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