本研究の目的は、NPOの活動として外国人への健康支援活動の可能性とその有効性の評価を行い、ボランティア組織による居住外国人の健康支援システムは、どのようにすれば構築が可能かについて検証することである。初年度である平成14年度は、静岡県内の1市町村で、市町村の協力を得て外国人世帯の悉皆調査及び保健サービスの利用状況、そして適切な情報提供とニーズ把握を行うNPOの組織化と活動方向の明確化を実施する予定であった。 この目的を実現するために、まず行政側と協議を行い今後の協力体制を得ることができた。そして、対象地域で活躍しているNPO「ふぁみりあネット」と協力体制を確立した。このNPOは、平成7年から「レディスネット袋井」として子育て世代への支援事業を展開しており、袋井市版エンゼルプランへの提言や子育て情報誌発行などの活動が認められ、平成9年より「ふくろいファミリーサポートセンター」を袋井市の委託を受けて行っている団体である。大きく9つの活動を行っているが、その中に「保健・医療または福祉の増進をはかる活動」と「国際協力」の活動がある。現実的に調査を行うためのキーパーソン(日本語を話すことができる外国人)の選出は「ふぁみりあネット」を通じて行った。このキーパーソンの協力により対象地域の外国人世帯の居住区域を調べ、予備調査として質問紙作成のためのヒアリングを実施した。ヒアリングではどの地域の医療機関を利用しているか、また健康管理の面でどのような問題を抱えているか、利用している社会資源等を中心に実施した。 今後は現実的に外国人のニーズ調査を実施し、居住外国人の健康支援システムの構築に向けての具体的なNPO活動の検討を行う予定である。
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