1.目的:PTSDの患者にとって、ダンスセラピーの効果がどのようなものであるかを明らかにし、当該疾患の患者への看護介入の一助とすることである。 2.方法:一年目の本年度は米国とわが国のダンスセラピーの現状を視察、さらに、当初の方法に加え、アジアの発展途上国で、14年10月に爆弾テロが起こったインドネシアのバリ島のトラウマ被害と舞踊を視察し、文献的調査を実施した。 1)14年7月から8月、米国、カリフォルニア州、Tamalpa Institute等で、Anna Halprinらによる、Dance The rapyの研修を行ない、さらに西海岸の精神科臨床におけるダンスセラピーの現状を調査した。 2)14年6月、8月に岩下徹による滋賀県、湖南病院(精神科)の舞踏によるダンスセラピーを視察した。 3)14年12月、インドネシアバリ島のテロ被害、被害者が運ばれたサンラ公立病院、さらにバリ舞踊を視察した。 3.結果: 1)ダンスセラピーの体験的コースを経験した。対象は、がん患者やエイズ患者が主であった。米国ロサンゼルス近郊の精神科臨床では、ダンスセラピーが普及していなかった。 2)舞踏によるダンスセラピーが、患者のリラクゼーションやカタルシス効果、レクリエーションとして定着し、看護師とともに定期的に実施されていた。PTSDの患者は視察時にはみられなかった。 3)被害とそのトラウマケアの現状を視察、さらに精神病者が少ないと言われているバリ島の精神医療の現状と、バリ舞踊やバリ島の文化が人々のメンタルヘルスを支えている機能について調査し、雑誌精神科看護に報告した。 以上の調査をもとに、15年度は、PTSDの患者にダンスセラピーを実施しているフィールドを確保し、その体験を面接調査によって明らかにし、質的に分析し、日米、(参考としてインドネシア)の比較を実施し、ダンスセラピーにおける看護介入の効果への示唆を得る。
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