リンパ浮腫を抱えるがん患者の日常生活上の不都合と対処方法に関する研究 【目的】リンパ浮腫を抱えるがん患者の日常生活上の不都合、および、リンパ浮腫に関する知識と対処方法を明らかにして、リンパ浮腫を予防・軽減する効果的な看護援助を検討することである。 【調査方法】対象は、研究協力に同意の得られた者で、がんの手術療法、あるいは、放射線療法後に上肢または下肢にリンパ浮腫の徴候があり、面接が可能な身体・心理的状態と判断される者とした。調査内容は、1)リンパ浮腫による日常生活上の不都合;日常生活において支障をきたす内容とその程度、リンパ浮腫による心理・社会的苦痛、2)リンパ浮腫に関する知識と対処方法;リンパ浮腫に関する医療者の説明と対象者の理解の内容、リンパ浮腫の自覚症状の有無、および、発現時期とその程度、患者自身のリンパ浮腫への対処方法、これまでに受けた医療者の指導および援助内容、3)患者に関する基礎的データ;現病歴(リンパ浮腫の原因となり得る治療)、年齢・性別を含む個人的因子、就業状況・日常動作の活動状況を含む社会的因子、とした。調査方法は、国内外の文献検討を基に作成した半構成質問紙を用いた面接法、参加観察法、および、記録調査法、であった。倫理的配慮として、対象者には研究目的と方法を文書にて十分説明した上で、研究協力を依頼し承諾を得た。また、研究への協力は自由であり、参加を断った場合もその後に受ける医療・看護には影響がないこと、および、承諾した後でも研究参加を断ることができることを説明した。面接の際は、15〜30分程度の時間を要するため、対象者の身体・心理状況を優先し、面接に伴う疲労を最小限に抑えるよう配慮した。 【結果】対象は、40歳代から70歳代の女性12名であり、内訳は、現疾患;乳がん11名、子宮がん1名、リンパ浮腫の原因となり得る治療;非定形乳房切除術9名、乳房部分切除術2名、準広汎性子宮全摘術1名(いずれも所属リンパ節郭清が施行されている)、浮腫の部位;上肢11名、下肢1名、リンパ浮腫の徴候に気づくまでの期間;約30ヶ月(術後2日目から10年)、であった。現在、インタビュー内容の逐語録を作成し、質的帰納的分析を行っている。
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