研究概要 |
大学病院における慢性疾患専門外来での看護師の役割の明確化のため,患者の自己管理を支援するための患者指導や看護援助の実態を把握することを目的にアンケート調査を行った.調査対象は、慢性疾患の患者指導に現在携わっている看護師とした。アンケートの内容は、患者指導に携わっている看護師や患者指導を行っている外来の状況、個別指導と集団指導で行っている指導の内容や指導における問題点などについてとした。アンケート調査は、全国の大学病院135施設の看護部長に調査協力依頼を送付した後、調査協力の承諾の得られた施設の看護師へアンケートを送付する方法を取った。そして、68施設より研究協力の承諾が得られ、施設の看護部長より紹介のあった185名の看護師にアンケートを送り、52施設、110名の回答を得た. その結果、患者指導に携わっている看護師のうち、WOC認定看護師や糖尿病療養指導士など特定の疾患の指導に関わる資格を取得している者は、110名中15名であった。 個別指導を行っていると答えた看護師は、110名中100名であり、患者指導を行っている疾患は、糖尿病、高血圧、高脂血症、虚血性心疾患など生活習慣が疾病の発症、進行に関わっているものやパーキンソン、ALS、膠原病のような難病に含まれる疾患など多岐にわたっていた。 集団指導を行っていると答えた看護師は、110名中56名であった。集団指導は、糖尿病、腎疾患、呼吸器疾患などで行われていた。集団指導を実施していない理由としては、人員不足、体制の不備など必要性を感じながらも行えていないとするものと、難病など疾患の特徴から集団指導が適さないことを理由としているものなどがあった。 今後は、アンケート結果をもとに患者指導を行っている看護師へのインタビューを行い、大学病院における慢性疾患専門外来での看護師の役割を明確化する計画である。
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