研究概要 |
初年度は,2名の妊婦にプレインタビューを行い,インタビューガイドを修正した。そのうえで,経産婦1名,初産婦1名の計2名の妊婦へのインタビューと分析を行った。 本研究は,継続的比較分析の手法を用いていることと対象事例数がまだ少ないという理由から,現時点での分析はデータのコード化の段階であり,抽出された概念とその関係について新たな知見を言明することはできない。しかしながら,2名の分析結果から,出産に対する自己効力感の形成に貢献するモデリングの資源としては,"ピア・グループの存在","信頼できる医師・助産師の存在","具体的にイメージできる出産情報","過去の出産体験の中の自己"が抽出された。他に,自己効力感形成の背景には,"今回の妊娠経過と胎児発育状態の正常性","自己の身体能力への信頼","夫の妊娠・出産への関心"が関連していると考えられた。さらに,自己効力感形成のパターンの一つとして,"出産は医療者におまかせ"という出産姿勢を持つ妊婦の場合は,"医療者への接近"と"分娩時での信頼できる医療者の確保"から出産環境を整えることで,自己効力感を獲得していくことが推察された。このような出産姿勢をもつ妊婦の背景には,"不妊治療による妊娠"があり,妊娠歴や生活史の中での医療との関係も加味してインタビューする必要性が示唆された。 次年度は,事例を重ねて分析を加え,概念の抽象化と概念間の関係性を明確にし,出産に対する自己効力感の形成プロセスを明らかにする。
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