目的:1.終末期癌患者における褥瘡好発部位皮膚の形態学的特徴を組織学的に明らかにする。 2.組織耐久性について組織学的に明らかにする。 対象:これまで研究者が直接褥瘡ケアに関わった患者で、褥瘡の有無に関わらず、過去に化学療法をうけた剖検患者。患者および遺族に研究の趣旨を説明し、同意が得られた対象とした。 方法:1.剖検時、褥瘡好発部位でかつ圧迫のかかっていた皮膚、および褥瘡保有者は褥瘡部位皮膚、圧迫がかからない皮膚(腹部)を採取する。 2.採取前後で写真(デジカメ使用)撮影し肉眼的な形態的特徴を記述する。 3.採取皮膚を定法に従い固定から染色を施す。 4.光学・電子顕微鏡にて組織学的に観察する。 5.組織構造を光学顕微鏡にて観察し、組織耐久性に影響を与えている組織について検討する。 結果:方法1)剖検患者1名の組織学的所見、肉眼的所見および日常生活の検討を行った。肉眼的所見で褥瘡発生は見ちれなかった。日常生活では、寝たきり期間38日であり、寝たきり当初から超薄型エアマットを使用していた。寝たきり14日目に有効な体位変換をしなくなり、二層式エアマットへ変更した。ブレーデンスケール15点から10点と低下した。組織学的所見では、腹部および仙骨部ともに表皮、真皮および皮下組織の構造は保たれていた。 考察:これまでの結果では、寝たきり期間が長いとすでに組織学的には炎症反応がみられていたが、この症例では見られなかった。それは体圧コントロールが良好であったことが考えられる。 今後の展望:今回の症例と今までの研究の症例において、電子顕微鏡により超微細構造を観察し、目的2について明らかにしでいく。
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