研究概要 |
目的:造血幹細胞移植前・移植後の時期において、造血器腫瘍患者の心理状態を明らかにしたうえで看護援助の検討を行う。 方法:研究の趣旨と方法、倫理的配慮についての説明を口頭ならびに文書で行ない研究協力の依頼を行ない、文書による同意書を得ることができた急性リンパ性白血病(以下、ALLと記す)の患者6名を対象者とした。移植前のインタビューを2002年7月〜2003年1月にすべての対象者に実施し,移植後のインタビューは亡くなった2名を除き4名の対象者に2002年12月〜2003年6月に実施した。インタビュー内容は、移植前には、病名告知時の気持ち移植に対する思いについて、移植後には、移植を受けた後の気持ちや移植後の移植に対する印象の変化、医療者に対する思いなどの内容を含む半構成的インタビューガイドを用いて行った。分析は、逐語記録を意味内容ごとに類型化し整理していき、文脈ごとに気持ちを表すタイトル名をつけた。本年度は移植前のインタビュー結果の分析を終了し,以下の結果を得た。 結果:移植前の気持ちの構成要素として,10サブカテゴリー,4コアカテゴリーが抽出された。(以下,サブカテゴリーを[ ],カテゴリーを【 】と表す) 【白血病であることの自覚】[がんである白血病に自分がなったことの受けとめ][治療への受けとめ],【命を懸けた移植への恐怖感】[最後の懸けとなる移植で命を絶たれる恐怖],[未体験の移植をイメージしきれない不安],【生きることへの尊さの実感】[生きられることの尊さの実感],[移植で新たな生を受け生きたいという希望],【周囲の人と繋がり支えられている感覚】[ドナーへの敬意と感謝],[看護師・看護学生から受けたケアによる癒され感],[主治医への信頼と感謝],[人との繋がりによる支えられ感] 次年度は移植後の気持ちを分析し,必要な看護援助の具体的な内容を考案する予定である。
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