研究概要 |
4グループの役員4名に対する自由式面接調査の内容について分析した結果,小児慢性疾患の市民グループ活動の特性として(1)活性化を支える動き(2)関係団体との有機的な繋がりによる効用(3)自分たちのことという意識の芽ばえ(4)専門職者との協同のありよう(5)子どものありようを基点とした集い(6)再構築した情報の提供(7)投げ出された子どもと家族への個別的な対応(8)子どもの将来を脅かす環境への働きかけ(9)ボランティアの醍醐味(10)患者サイドのプロとしての行為が抽出された。また、【子どものありようを基点とした集い】からは子育てからグリーフワークに到るまでの幅広い交流と市民グループ独自の機能,病院や地域においても活動の幅を拡げている市民グループの役員の存在が明らかとなった。 【専門職者の協同のありよう】には、市民グループの運営や活動上の役割により個別性と市民グループに対して主催型・参加型・連携型の3つのアプローチが示された。なかでも小児慢性疾患の市民グループと看護職者の関わりについては(1)当事者・家族の身近な拠り所としての市民グループの役割と病院や地域の先駆者としての役員の実践を理解すること(2)関わりそのものが市民グループにより差があることから3つのアプローチに通じる役割を充実させていくために当事者・家族の主体性を尊重すること,専門性や長期的な視点から見た関わりを展開させること,連携という看護独自のアプローチを認知し特に紹介役割を十分に果たすこと(3)当事者・家族という経験者の声や体験を活かした基礎教育や卒後教育や慢性疾患をもつ子どもと家族の支援システムを確立することの3点の必要性が示唆された。
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