本研究の目的は、1.産褥早期における復古性変化の縦断的観察を行い、回復のパターンおよび観察の視点を明らかにすること。2.産褥早期のおける進行性変化の縦断的観察を行う。3.これらにより産褥期のフィジカルアセスメントツールの作成を行うことである。 本年度は昨年に引き続き下記の通り実施した。 身体の観察ツールは進行性変化と退行性変化の大きく2視点より構成したものを使用している。退行性変化である子宮復古の観察は、触診による主観的観察法と、超音波診断装置による客観的観察によりデータを得た。心理・社会的状態に関してはエジンバラ産後うつ病調査票、および母親の心配尺度(Maternal Concern Questioneire)を用いた。 調査に協力の得られた施設において継続して調査を実施中である。調査の対象者は、妊娠・分娩期に低リスクであった褥婦とし、対象者への依頼は産褥1〜3日に行った。倫理的配慮として、調査協力に関する説明を、文章と口頭によって行い、同意書にサインを受けた。研究への参加は自由参加であり、プライバシーの保護、研究参加の途中辞退は自由であること、参加しない場合も看護ケアに差はないことをあわせて説明した。 また超音波診断装置の診断精度を確保するため、宮城県医師会館で開催された第15回日本イアンドナルド超音波講座に参加し、超音波使用に関する知識の習得および研究者間での交流をはかり情報収集を行った。 第1次調査では、正常経過褥婦を対象者としていた。しかし、近年腹式帝王切開術が増加していること、また帝王切開術後の子宮復古に関するデータが少ない事などから、対象を広げてデータを増やして、さらに研究を発展させていこうと考えている。
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