本研究は、精神科看護の臨床場面において、患者から否定的な感情が向けられることにより看護師が患者に対し陰性感情を持つことで、患者-看護師関係が行き詰まるような状況を分析し、看護チームの中でどのように解決して行くかについて検討するものである。 平成14年度は、看護師個人の持つ「患者への陰性感情」について調査するためのインタビューガイドの作成に取り組んだ。 まず、文献検討を行った結果、看護師は日々のケアの中で頻繁に陰性感情を持つが、実際の表出は少ないことが報告されていた。しかし、看護師がどのような過程を経て患者に対し陰性感情を持つのか、患者-看護師関係は看護師の陰性感情によってどのように変化するのか、陰性感情を持つ看護師にとって何がサポートとなり得るのか等についての、具体的な報告は無かった。 上記の文献検討の結果を踏まえ、精神科病院で働く看護師3名を対象に面接を行った。具体的な質問は以下のように設定した。 (1)対象者に否定的な感情を向けた患者の病歴及び現在の状態 (2)その患者に対し対象者が陰性感情を持った場面 (3)その患者と対象者との関係性の変化 (4)対象者が陰性感情にどのような対処をしたかとチーム内での陰性感情の表現の仕方 (5)対象者にとって陰性感情を持った際にサポートとなり得たこと (6)対象者が今後看護チームに期待するサポート 一回の面接の所要時間は60分程度であり、対象者の許可を得て内容をテープレコーダーに録音し、終了後記述化した。 平成15年度は、上記のインタビューで語られた内容を分析し、インタビューガイドを作成の上これに基づいてデータを収集し分析する予定である。
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