(1)先行研究および調査方法の再検討 先に実施した調査(「医療ケア上の自己決定における認識と行動に関する研究」(平成12年度日本学術振興会科学研究費補助金 奨励研究(A))を再度分析し、既存の研究との関連を考察し、論文を作成した(投稿査読中のため今年度の業績には掲載せず)。考察上、自己決定という用語をつかう適切性について再度検討が要と判断し文献検討を行った。その結果、国内で使用されている「意志決定」「意思決定」「自己決定」の使用頻度は年々増加傾向にあるが、使用内容をみると特に用語の定義に一定の規則性はないことが明らかになった。研究主題を内容的に分類すると、「対象の決定を支援する方略や役割についての述べているような臨床実践に関するもの」、「対象が実際に何らかのテーマに関して決定する状況について説明したもの」、「倫理的葛藤状況に関するもの」に大別できた。文献検討の結果、本研究で取り組もうとしている現象に「ジコケッテイ」以外の用語の適応を検討する必要もあると考えられた。また、調査方法に関しては、柔軟なモデル構成力のある多変量解析法を導入し、「ジコケッテイ」を潜在変数として概念モデルを作成することを検討している。 (2)調査準備 調査準備のため、埼玉県内にある1医療機関に入・通院中の循環器系疾患患者を対象に、面接による聞き取り調査を実施した。聞き取り内容は、医療ケア上の意思決定および行動決定に関する体験や認識について半構成的面接を実施した。聞き取り調査および先行研究の検討に基づき、概念モデル作成に用いる予定である。
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