平成14年度は、平成13年度に収集した入所条件要項を用い各都道府県でまとめられた入所指針についての内容(手続き・評価基準)を検討した。データ収集は、各都道府県ならびに市町村のホームページにアクセスし、Web公開されている入所基準を入手した。結果および考察としては次の通りである。47都道府県のうち、入所指針を公表している地域は、29ヵ所(61.7%)であった。入所の手続きについては、入所順位の名簿作成、名簿の更新(平均月1回)などを行う旨の記述がされている地域が多かった。このように名簿作成の更新がなされることによって、古い情報の停滞を防ぐことができることについては、評価できると考えられるが、入所希望者やその家族にとっては自分が今何番目であるのかという現在の順番について、どのように情報を得ることができるのかということが関心事項ではないだろうか。次に、人所評価基準について詳しくみてみると、(1)人所希望者の心身の状況、(2)家族・介護者の介護力、(3)在宅生活の可能性、(4)住環境の状況、の大きく4項目にまとめられて提示されていた。(1)の入所希望者の心身の状況の中には、要介護度の中に含まれない痴呆の有無、ならびに痴呆の程度について含まれており、今まで入所において考慮しづらかった面を含められていることが特徴的であると思われる。そして、この入所基準を点数化し、チェックシート方式で客観的に評価できるツールを使用している地域もある。以上のように何をどのように判断しているかについては、検討されているように捉えることはできるが、入所評価についての結果の公表をどのように行っているかについての明記をしている地域は見当たらない。このことから、今後入所評価されたことについてのアウトプット情報をどのように利用者に伝えていくかが課題になり、この点をクリアしていくことが公平性・透明性に一歩近づくことなり、利用者が安心し納得したサービスの提供へとつながると考えられる。
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